ごとう隼平

▼東京ネームタンク代表/コルクスタジオ編集長/京都芸術大学准教授 ▼マンガのストーリーを研究する人 ▼小学館サンデー編集部に10年間通って出版社のノウハウを学び、同時にストーリー構造を研究 ▼マンガ文法を広め、楽しくマンガを作り届けられる世界を目指しています!

ごとう隼平

▼東京ネームタンク代表/コルクスタジオ編集長/京都芸術大学准教授 ▼マンガのストーリーを研究する人 ▼小学館サンデー編集部に10年間通って出版社のノウハウを学び、同時にストーリー構造を研究 ▼マンガ文法を広め、楽しくマンガを作り届けられる世界を目指しています!

記事一覧

メンタルの敵「わからない」の倒し方

「正解」を求めると、成長しにくいかもって話

届ける相手を見極めないと、届かない、という話

クリエイターは知って欲しい、絵やマンガの「今」の学び方

物語の全体を掴む方法は、デッサンと同じって話

想いが強いタイプほど、作品が届かない罠

あなたは何系?マンガ家「水見式」

描けないものは、描けないって話

内と外、強みをどこに持つべきか

なぜ連載漫画は、結末未定のまま始められるのか

本気で原稿に向かうから、分かることがあるって話

苦にならない、のシェアで世界は平和に回るって話。

不安や悲しみを受け止めた先に、創作はある

創作が辛くならない、2つのポイントとは

仕事の問いと、人生の問いの関係性

3行日記を100行日記に変えて気づいたこと

メンタルの敵「わからない」の倒し方

仕事をしていて、気持ちが楽な週と、なんだかソワソワして落ち着かない週がある。そのソワソワの要因を探ってみると、「不確定なこと」に要因がありそうだ、と気づいた。 人間は「わからないもの」を恐れるとよく聞く。子供の頃、夜にトイレに行くのが怖いのは、廊下の暗闇に何が潜んでいるか「わからない」からだ。 仕事も、そうなのかもしれない。人間関係や締切のようなわかりやすいストレスの他に、「どうなるかわからない」と言うじわっとしたストレスもある気がしている。 マンガ専科も、今日からちょ

「正解」を求めると、成長しにくいかもって話

どんな一流の人も、たとえば大谷翔平だって、初めから成功だけを積み重ねて、一流になった、ということはないはずだ。むしろその逆で、他の人よりも失敗した数が、めちゃくちゃ多くて、だからこそ活躍できるのだと思う。 たぶん、ただ正解だけ知ってても、ダメなのだ。それはなぜか。 数えきれない間違いや失敗の経験があるからこそ、いち早く今の正解を知り、信じることができる。 常に通用する、正解なんてないプロの道は厳しい。きっと、うまくいくときだけじゃない。相手の投手に対策されてしまうことも

届ける相手を見極めないと、届かない、という話

相手が「どの立場から」話しているのか。これを見極めないと、伝わるものも伝わらない。 AIの話、著作権の話、この辺りの話は、クリエイターに向けて話しているのか、消費者に向けて話しているのか、曖昧になってしまう。 誰がどの前提に立って話しているのかを理解しないと、虚空に石を投げ合うような、無意味な論争になってしまうと感じる。お互いに世の中良くしようと想いあっているのに、悲しいばかりだ。 立場はくるくる変わる。一様に相手を判断してしまうと、間違いやすい。 どんな仕事も社会を

クリエイターは知って欲しい、絵やマンガの「今」の学び方

今の若い人たちは、本当に絵がうまい。 その理由は、小さい頃からpixivなどでたくさんの上手な絵に触れ、YouTubeなど描き方の動画も潤沢にあるからだ、と言う説をよく聞く。 でも、その理由は、本当にそれだけなんだろうか。 マンガの学校をやっていると、学習の仕方と言うものが、すごい勢いで進歩しているのを、日々感じる。 なぜ高校生が160キロの速球を、投げられるようになったか僕が子供のころは、日本人は体格的に、160キロは投げられない、と言うことをよく聞いた。 でも、

物語の全体を掴む方法は、デッサンと同じって話

マンガ専科の中で、物語の大きなカタチを掴むために、既存作品の第一話を、4枚の紙しばいにする、という課題に取り組んでもらった。 40人近い参加者が挑戦してくれて、4枚紙しばいがずらっと並んだ。この数だからこそ見えてくるものがある。 今回僕の予想とちょっと違う結果があり、だからこそ得た感覚があった。 4枚の選び方はこんな感じです〇〇な主人公が 〇〇な状況になっちゃって 〇〇を乗り越えて 〇〇を手にいれる ストーリーとは、主人公が何かを手に入れるまでの道筋だ。抽象化す

想いが強いタイプほど、作品が届かない罠

排出型の作家さんは、世の中に対して伝えたいこと、メッセージがはっきりしていることが多い。 と言うのは、これまでも話した通りだ。 そういう作家さんは、特に物語の中盤後半に強みを発揮する。 キャラを深掘りクライマックスで感動を呼ぶテーマを描くことができる。 逆に弱点もある。 序盤中盤から、 読者の心をときめかせるような、ウキウキワクワクを描くことに、 本人がウキウキワクワクしなかったりする。 商業マンガと言うものは、エンターテイメントだ。 どうしてもワクワクする入り口が必要

あなたは何系?マンガ家「水見式」

先日、排出型と萌え型の話をしたときに、ハンタの念能力のようだ、と言うリプをいただいた。 ほんとにその通りだと感じる。今日は、マンガを描く人なら簡単にできる、マンガ家専用の「水見式」を紹介したい。 ハンターハンターの念能力は、自分の系統の能力以外を使うこともできる。ただ、それは相当のエネルギーを消耗してしまう、という設定だったと思う。 これとまったく同じで、排出型の人が萌え型の描き方をするのは、できなくはない。その逆も然り。特訓すればできるようになるし、ただやっぱり、やた

描けないものは、描けないって話

これまで2000人以上、漫画を描く人たちと作品を作ってきた。そんな中で作品を描けなくなってしまった人をたくさん見てきた。 技術を持った漫画家さんでも、描けない、と言う場面に何度も直面した。 なぜスキルがあるのに描けないのか。 それは決してやる気がなかったり、才能がなかったりするわけではない。でも描けないことが続くと、自分を信じられなくなってしまう。 なぜ描けないのか、そのほとんどの理由ある程度スキルを持った漫画家さんが、描けなくなってしまう理由のほとんどが、創作タイプ

内と外、強みをどこに持つべきか

コルクラボのストレングスファインダーの理解を深めるための会に参加した。その中で冒頭、講師の方から、強みと言うと、外に持ちがちだ、と言う話を聞いた。 確かに、資格、スキル、何か点数として評価できるもの。地位や名誉と言うものも、自分の強さを表すものかもしれない。 でも、そういう自分の外にある強みは、追い求めると苦しい、とも言われていた。外にある強みは、手に入れても、他にも手に入れている人がいるから、つい比べてしまう。上を見ればキリがない。 対して、自分の内側に強みを見いだす

なぜ連載漫画は、結末未定のまま始められるのか

たまに聞かれることに、世にある多くの連載漫画は、結末が決まっているのですか?と言うものがある。 バッチリ決めている人もいれば、予定外のタイミングで連載終了する可能性を考え、いくつかのエンディングのパターンを作っている人もいる。 でも、新人の場合は、3話くらいのネームで、連載会議に通るので、開始時点で結末のことまで考えてない、と言うこともよくあるのではないかと思う。 結末を決めないで始められるなんて、と疑問に思うかもしれないが、物語の構造を考えると、それほど不思議なことで

本気で原稿に向かうから、分かることがあるって話

根性論にも近いけど、漫画は感情を描くから、キャラを掴むのに「根性」で迫るというのは、意外と近道なのかもしれない。 今、ちょびさんと言う新人の漫画家さんの打ち合わせに、経験豊富な、ベテランと言うと嫌がるかもしれないけど、こしのりょうさんにも入ってもらっている。 ちょびさんがキャラクターを掴むのに、やや苦労していて、その理由もまだ探っている最中だ。主人公を、作者と重ねるのか、それとも眺めて描くのか。共感型と興味型の間で迷わせてしまっているかもしれない。 そんな中で毎回、こし

苦にならない、のシェアで世界は平和に回るって話。

先日、ランチの予約を取る必要があって、頑張って通話して予約を取った。大体いつも後回しにして、ギリギリになって、ようやく重い腰を上げるのだが、今回は頑張った。 と言う話を、社員の渡邉さんにしたら、私は予約を取るのが好き、と言い始めた。世の中に予約を取るのが好きという人がいるのか!すごい発見だ。 しかし思えば、佐野さんも売り上げを予測する難しい関数を楽しげに組んでいた。志賀さんも予算のスプレッドシートを触るのが好きらしい。 自分の気がまったく進まないことを、世の中には苦もな

不安や悲しみを受け止めた先に、創作はある

先日、コルクの創作6箇条と言うものを作った。 第一条は ・ただ1人、深く届ける相手を定める。 と言うものだ。これは一人一人の世界を変えるという、コルクのミッションにも沿っているし、個人的にも、僕も漫画家としてそのように創作してきた。 漫画は、感情を描く。主人公の感情かもしれないし、作者の感情かもしれない。だからと言って、自分ばかりに注目してはいられない。 作品は、届けるものだ。しっかりと届ける相手を見つめる必要がある。相手のことをいかに想えるのか、と言うのが創作におい

創作が辛くならない、2つのポイントとは

先日、漫画家さんと打ち合わせをしていて、実は今進めている作品が全然楽しくないと感じている、と打ちあけられた。 技術力がある作家さんだったので、打ち合わせで決まった通り描けてしまう。でも実は全然気持ちが乗ってなかったのだ。 ちょうど引き継いだタイミングだったので、申し訳ないけれども、これまでのプロットやネームは一旦忘れて、1から一緒に再構成してみた。 描いててテンションの上がらないものは一切排除していく。 企画書が変わらなくても、ストーリーは全然変わる。コルクスタジオの

仕事の問いと、人生の問いの関係性

先日、コルクに1年間限定で出向に来ているKさんから、打ち合わせの時間をもらえないかと打診があった。 Kさんとは、スクールチームで一緒に仕事をするようになって2ヶ月目。1年間で何か1つやり遂げる目標を決めるために、自分の強みや良いところを教えて欲しいということだった。 もはやその姿勢が最高に強みだし、良いとこだよなと思いつつも、Kさんの仕事上で感じる強みと、人間としての魅力を2つ伝えようと思った。 仕事と人生が一致しているように見えるKさんの印象として、仕事は仕事、プライ

3行日記を100行日記に変えて気づいたこと

というわけで、前回から3行日記を100行日記に変えてみた。そのことによって気づいたことが早速いくつかある。 自分の見えてなかった思いが、どこまでも隠れているものだなと思った。 まず、僕はそもそもコンテンツとして、3行日記を面白いものと思えてなかったのだ、と言う事。 そしてその前に、自分が出すものは全てコンテンツだと思っている、という大前提も、無意識的に持っていたのだと気づいた。 3行のフォーマットが難しすぎるという気づき面白いものを書くためのフォーマットではないのだか