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本気で原稿に向かうから、分かることがあるって話

根性論にも近いけど、漫画は感情を描くから、キャラを掴むのに「根性」で迫るというのは、意外と近道なのかもしれない。

今、ちょびさんと言う新人の漫画家さんの打ち合わせに、経験豊富な、ベテランと言うと嫌がるかもしれないけど、こしのりょうさんにも入ってもらっている。

ちょびさんがキャラクターを掴むのに、やや苦労していて、その理由もまだ探っている最中だ。主人公を、作者と重ねるのか、それとも眺めて描くのか。共感型と興味型の間で迷わせてしまっているかもしれない。

そんな中で毎回、こしのさんの言葉は神がかっている。

こしのさんが原稿を描く理由

こしのさんが言うには、ネームじゃ本当の感情は理解できないんだ。原稿に向かって本気で向き合うから、その感情が見えてくる。のだと。

だからオレは自分で原稿を描く。そう言っていた。

確かに、漫画は感情を描く。感情を描くからには、まず、感情を掴んでなくてはならない。でも、いかに主人公といっても、作者そのものではないし、経験したことのあるシーンに近くても、そのものではない。

そんな時、あーだこーだ理屈で考えるよりも、まず原稿に向かってみる。

ちょびさんも、マンガの中で、主人公に拳銃をつけつけられたときの、感情や思考が見えてこないと言っていた。

ペンに魂を入れれば、キャラに宿る

感情が掴めなくても、実際に主人公に拳銃を突きつけたシーンを、本気で描いてみるのだ。

そうすると、そこに、銃を突きつけられた人間の、生々しい呼吸を感じる。ペン入れは、一瞬では終わらない。

描くために、どの筋肉に力が入っているか、周囲の緊張感、いろんなことを想像する。読者に伝えるために、こっちも力む。キャラと同じ顔になる。

キャラクターと同じ時間と空間を共有するのだと思う。

その臨場感を感じ、作者もその世界に入り込むことができたら、その次のコマ、主人公がどんなことを感じ、考えるのかも、おのずと見えてくる。ということだ。

AI時代に考えさせられる感情論

こしのさんは、過去作品で、物語の1番最初にその時に感じていた、組織の理論で個人が追いやられることへの憤り、その組織をぶっ飛ばす、みたいな主人公を描いたという。

ネームだけ描いて、作画をAIに任せたら、どうだっただろうか。AIの活用は、感情をしっかり掴んだ上でできる、より高度な技術なのだと改めて思った。

本気のペン入れで、感情を掴む。ただ下絵をなぞって描いたら、AIと同じだ。

ある瞬間、魂を練り上げ、本気を出せる。それが人間の強みの一つだと、改めて思った打ち合わせだった。

3行まとめ

出来事
ちょびさんとこしのさんと打ち合わせをした

感情
楽しい

気づき
本気だからこそ、掴めるものがある。

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ごとう隼平
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