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想いが強いタイプほど、作品が届かない罠

排出型の作家さんは、世の中に対して伝えたいこと、メッセージがはっきりしていることが多い。 と言うのは、これまでも話した通りだ。

そういう作家さんは、特に物語の中盤後半に強みを発揮する。 キャラを深掘りクライマックスで感動を呼ぶテーマを描くことができる。

逆に弱点もある。 序盤中盤から、 読者の心をときめかせるような、ウキウキワクワクを描くことに、 本人がウキウキワクワクしなかったりする。

商業マンガと言うものは、エンターテイメントだ。 どうしてもワクワクする入り口が必要になる。 排出型の作家さんは、 この入り口作りにとても苦労して、編集部に ネームが全然通らない、ということがとても多い。

読者にお金を出してもらえるポイントとは

僕はウェブトゥーンの編集長もやっている。 そこでは企画の中に「訴求ポイント」 が明確にあることを重要視している。

訴求ポイントは、 読者が持っている、本能的な欲求を刺激するものであって欲しい。
承認欲 自己顕示欲 支配欲 独占欲 暴力欲 性欲 食欲 理解欲…

溺愛されたり、胸キュンだったり、 恋のときめきは、承認欲求。 復讐したり、無双したりと言うのも、 屈服させたい気持ち、 結局は承認欲求かもしれない。 ウェブトゥーン系でよくあるマンガは、この辺がわかりやすい。

とは言え「訴求ポイント」は、実は見開きの漫画にもしっかり入っている。

コナンくんも、 子供なのに、大人の頭脳を持つ、 明確に優位性アドバンテージを持った気持ちよさがある。 読者に快楽を与えるポイントが、 しっかり設計されているのだ。

よくある排出型マンガ家の傾向

排出型の漫画家さんは、 この快楽のポイントに興味がない人も多い。 だから、 どこで訴求するかを問うと、 悩み、苦悩、葛藤、 と言う答えが返ってくる。

それはストーリーを面白くするポイントではあるが、 お金を出して苦しみを買う人は少ない。

ではどうするか。

もし排出傾向が強い場合は、「解放の欲求」を使うことを意識してほしい。

主人公を冒頭から、とにかく目が離せないようなキツい状況に追い込む。 ここで遠慮しては、作品として弱くなってしまう。 排出型の人は、 素晴らしいメッセージ性を持っていることが多い。 どんな始まり方をしても、素敵な結末にたどり着く。

だから騙されたと思って、 思い切って残酷に踏み込んで欲しい。 あなたにとって何が1番キツい状況だろうか。そこをしっかり描き、読者に共感させることができれば、その状況から「解放されたい」と言う強い欲求が生まれる。

この欲求は、しっかりとお金を出してもらえる、強い欲求だ。

3行まとめ

排出型の作家さんは、辛いことを経験した、優しい方も多い。その優しさが、作品の弱さになってしまうのは、もったいない。優しさというのは、本来とても力強いもののはず。それを活かす、物語の入り口を作りたい。

できごと
排出型の作家さんと打ち合わせをした

感情
ワクワク

気づき
創作タイプを意識すると、企画はできると再確認

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