創作が辛くならない、2つのポイントとは
先日、漫画家さんと打ち合わせをしていて、実は今進めている作品が全然楽しくないと感じている、と打ちあけられた。
技術力がある作家さんだったので、打ち合わせで決まった通り描けてしまう。でも実は全然気持ちが乗ってなかったのだ。
ちょうど引き継いだタイミングだったので、申し訳ないけれども、これまでのプロットやネームは一旦忘れて、1から一緒に再構成してみた。
描いててテンションの上がらないものは一切排除していく。
企画書が変わらなくても、ストーリーは全然変わる。
コルクスタジオの企画書は、作家の強みを繰り出し続けられるように、「訴求ポイント」を決めている。
訴求ポイントとは、作家が描きたいポイントと、読者が課金してでも読みたいと思うポイントが、重なった点だ。
作家が描きたいポイントは、自分の感覚なので確かめやすい。読者が課金してしまうポイントは、読者の潜在的な欲求に触れる場所だ。
これは、課金(琴)線と名づけラジオでも語ったことがある。
【「売れるためだから…」の我慢はダメ! ずっと出し続けられる「自分の欲求」を見つけよう】漫画家ためになるラジオ【vol.072】
https://youtu.be/G-XjolQVBMw
この訴求ポイントさえずれなければ、ジャンルやちょっとしたコマワリのテンション、シリアス加減といったものは、わりと自由が効く。
つまり、正解は無限にある。
漫画制作においては、ゴールまで一直線に伸びる、光り輝く一筋のシャイニングロードが見えるより、ゴールまでいくつもの道が見える、迷いのある黒峰美花の能力のほうが適していると感じる。
(ゴルフ漫画、ライジングインパクトの例えです…どこに打つとボールがホールに落ちるか、道が見える能力が描かれます…!)
作品の完成形がたくさんあるからこそ、微妙にテンションの上がらないポイントを全て回避し、ゴールまで導くこともできる。
そのために、2つのとても大事なポイントがある。
楽しくないときは、何かのエラー
まず、漫画はうまくいく時は、最初から最後までずっと楽しい、と知ることだ。もちろん産みの苦しみがある事はある。
でも、その苦しみも、希望に満ちたものであるはずだ。うんざりなんてことはありえない。
逆に言うと、何かが楽しくなかったり、テンションが下がる時は、それは何かのエラー。うまくいってないポイントがあると言うことだ。
当たり前だけれども、作者がテンション下がったまま描いたものを、読者が喜んで読む事は無い。漫画は、そういう微細な感覚が、如実に画面に現れる。
もう一つの大事なことは、自分の心のセンサーに敏感になることだ。良い作品を作るために、自分のエゴを消そうとか、心を殺してしまうことがある。
そんなことを繰り返していると、テンションが下がっていることを検知する、心のセンサーも鈍くなってしまう。
漫画は繊細な感情を描く。センサーが死んでいては大事な機微を描くことはできない。
自分のテンションが下がっているポイントを見出し、全力で回避してほしい。回避する道は360度広がっているのだから。
まとめ
出来事
マンガ家さんと打ち合わせをした
感情
ほっとした、安心
気づき
成功へのルートが見えることは、良いこととは限らない。