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森下suu先生が教えてくれた! 創作は「原点の輝き」を胸に抱き続けよう。

こんにちは、東京ネームタンク代表/コルクスタジオ編集長のごとうです!

今回は、2月11日に僕が主催した「少女まんが勉強会」で得られた巨大な気づきを、みなさんと共有したく思います!

1.少女漫画界に連帯を! 「少女まんが勉強会」とは


まず「少女まんが勉強会」とは何かというと、マンガ家やマンガ家志望者に参加者を限定し、文字通り少女マンガについて話そう!という会。

悩みや疑問、相談ごとを持ち寄ってもらい、それらに答えていくかたちをとっています。

もう2年以上僕といっしょに会を運営をしてくださっているのは、編集者「しーげる」こと鈴木重毅さん(@henshu_shigel)。

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数々のヒット作を世に送り出した元「デザート」編集長で、現在はクリエイターのマネジメントをする株式会社スピカワークスの代表です。

この会で少女マンガに的を絞っているのは、まずもってしーげるさんの話をたっぷり聞きたいから。

少女漫画界での多大な実績と経験に裏打ちされたしーげるさんの考えや知見を、共有しないなんてもったいなさ過ぎですものね。


くわえて僕には、少女マンガ業界の課題をすこしでも解消できたら、との思いがあります。

少女まんが家の原稿料がなかなか上がらなかったり、ひとつの雑誌やレーベルで仕事をしていると、他誌との掛け持ちを許してもらえない、という風潮もまだ聞きます。

少女マンガの世界はかなり昔気質というか旧態依然としていて、「変われない」業界のようになっている面があるのではないか。これは、漫画家側にも問題はあるのかも知れず、すこしずつでも悩みのない場に変わっていってほしいと願っています。


そう考えたとき、できることの第一歩となるのは「情報の共有」です。


業界にいる他のみんながどんなことに悩み、どっちの方向に進もうとしているのかがわかれば、それだけでずいぶん心強いはず。

ならば、みんなで少女マンガの話をたくさんできる場を定期的に設けようじゃないか。

そんな趣旨で勉強会を継続してきました。


2.大切なのは、相手のスゴいところを知り、認め、それに応え合おうとする姿勢

そんな少女まんが研究会では、2月の会で初となる試みをしてみました。マンガ家をゲストにお招きして、あれこれお話を聴こうという企画です。

初ゲストとしてご登場くださったのは・・・


森下suu先生!


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『日々蝶々』や『ショートケーキケーキ』、そして『ゆびさきと恋々』といった作品で知られ、現時点で最も素敵な少女漫画の描き手と断言できましょう。


しーげるさんとは『ゆびさきと恋々』連載立ち上げ当初からのお付き合いがあり、深い信頼関係で結ばれている漫画家さんです。

ちなみに「森下suu」は、原作・マキロさんと作画・なちやんさんのユニット名になります。


今回お話をじっくり聴いて確信したのは、おふたりのコンビネーションと組み合わせの妙こそが、森下作品の強みとなっているということ。

おたがいをリスペクトし合っていて、それぞれが相手の才能のために尽くそうとしているのが、お話を聴いていると言葉の端々から伝わってくるのです。


マキロさんは、なちやんさんの画を生かす話を紡ごうと心を砕く。

マキロさんが上げたそのネームを輝かせるため、なちやんさんは作画を極めていく。

それで出来上がる原稿には、強い上昇スパイラルが生じている。


東京ネームタンクやコルクスタジオでは、チームで漫画をつくる体制確立をひとつの目標としています。

森下先生は、まさに「チームによる漫画づくり」を、コンビという最小単位でみごと実現している最良の成功例ですね。


チームでことに当たる場合は、相手のスゴいところを知り、認め、それに応え合おうとする姿勢が大切なんだということを学ばせていただきました。


3.「原点の輝き」を決して忘れないで! 創作に大切な根源の思い

もうひとつ、森下suu先生と話をして感銘を受けたポイントがあります。

それは、創作における「原点の輝き」とでもいうべきものがしっかりあって、おふたりがそれを大切に胸に抱きつつ仕事をなさっていることです。

おふたりは高校の同級生。

もともと各々で漫画を描いていましたが、なちやんさんはマキロさんの文才に当時から目をつけていたのだそう。

卒業後も別々に活動していたものの、おたがい時間があるときに声をかけ合って共作しようということに。

その際に決めたのは、結果につながるかどうかはさておき、

「ふたりの友情の証として、一作つくってみようよ!」

ということだったといいます。

漫画を描き始める根本の動機が「友情の証として」とは、本当に美しい。

そんな根っこを持った作品が、多くのひとに届いている。ふたりの友情が、世界を動かしている。それはとても貴いことだと思います。

ひとの心を動かす作品には、きっと「原点の輝き」があるものです。

創作に臨もうとする人は森下suu先生に倣って、根源の思いをいまいちど明確にしてみるのはどうでしょうか。

なぜこの作品を描こうと考えたのか。そもそも何を表現したかったのか。

描きたい気持ちが湧いているからには、何かしら素となる思いがあったはず。


しっかりと思い出し胸に留めておけば、それはきっと創作の大いなるエネルギーになってくれますからね。


4.マンガで世界を肯定する! 素敵なメッセージを届けよう

森下suu先生から学ぶべき点を、作品に則してさらにひとつ挙げておきましょう。

森下作品のスゴさは、

とにかく人間がちゃんと描けているところです。

まるでふかふかの新雪がゆっくり降り積もっていくように、繊細で柔らかなひとの感情が丁寧に描かれ重なっていき、読者を心地いい境地へいざなってくれます。


なぜそんな表現ができてしまうのか。

ひとえに深い人間観察の賜物なのでしょうね。

ひとの生や営みを貴く感じながら、愛おしく眺めている姿勢が伝わってきます。



よき観察の結果なのでしょう、森下作品には現実の世界がそうであるように、100%の悪いヤツなんて出てきません。

カタキ役や脇役を含むすべての登場人物が、それぞれ悩みや葛藤を抱えながら、ままならない人生をなんとか生きていると感じられるのです。

『ゆびさきと恋々』は、生まれつき耳が聴こえない女性が主人公。

身体に障害を持つことはデメリットとして描かれることが多いなか、森下先生は音のない静かな世界もまた美しく、手話でコミュニケーションをとるからこそ言葉より深く通じ合えたりもするということを、作品内で表現しています。


マンガで世界を肯定してくれているんですよね。


マンガを通して、こんな素敵なメッセージを届けることができるんだ。そう思うと勇気が湧いてきます。

マンガ家志望者にとって、こんな最高のお手本はありませんね。


読んで楽しいだけじゃなく、創作のヒントや姿勢までたっぷり教えてくださる森下suu先生、ありがとうございます。これからも大注目させていただきます。

「少女まんが勉強会」、そしてこのnoteでも、マンガ家の先生方の生の声を聴く機会、もっと増やしていきたいですね。



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ごとう隼平
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